まつこの庭

私の庭に咲いている花や庭にやってくる鳥や虫たちのことを記録していこうと思います

かわいそうな名前を付けられた草花たち

 ここ2.3日、まだ梅雨も開けないのに、真夏のような猛暑が続いています。セミが鳴き始めました。九州の方では、50年に一度という豪雨のために大惨事になっています。最近の気候は一体どうなってしまったのでしょう。

 

 仕事を辞めた妹が、時間ができたせいか最近草花に興味を持ち始め、「まつこの庭」から日陰に強い宿根草を中心にいろいろな草花を持っていき、自分の庭に植えて楽しむようになりました。「シソみたいな葉っぱで、小さい黄色い花が咲くんだけれど、何の花?」と聞いて来ました。私の頭の中は、??でいっぱいになりました。そんな花あったっけ? メールで写真を送ってもらいました。見るとこんな花でした。

f:id:myuu-myuu:20170708125914j:plainこれは、ハキダメギク、漢字で書くと、「掃き溜め菊」です。妹は、「こんなにかわいい花なのに、かわいそう。」と言いました。いわゆる雑草と言われている花です。雑草の中には、可愛い花なのに、とんでもなく酷い名前のついているものがたくさんあります。私は、妹の問いに園芸種を考えていたので、まさか雑草とは思いませんでした。きっと我が家からお嫁にいった苗に種が一緒にくっついていったのでしょう。

 ハキダメギクと言う名前は、植物学者の牧野富太郎博士が世田谷のゴミ捨て場(掃き溜め場)で発見したので、付けた名前だそうです。牧野先生、何もそんなかわいそうな名前を付けなくても・・・・と思いますよね。この草は、窒素分の多いゴミ捨て場や畑の脇などに生える性質があるようです。まっ仕方ないか!と納得しちゃいますよね。

 かわいそうな名前の付けられた植物の多くは、見た目(形や色、トゲなど)やにおい(匂いではなく臭い)、毒を持っているかどうかなどで付けられるようです。中には毒を持っていないのに、臭いから毒をもっていると思われるものもあるようです。

 

f:id:myuu-myuu:20170708132412j:plain↑ ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)  金平糖のようなかわいい花が咲くのに、小さいトゲをたくさん持っていて、これでお尻を拭かれたら痛そうですね。優しそうな継母(義理の母)が、継子(義理の子)をいじめるときの手段として例えられたこの花もいい迷惑です。

f:id:myuu-myuu:20170708133100j:plain↑ オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢) 陰嚢は、雅語的表現で男性性器のことです。こんな水色のかわいい花を咲かせるのになんてひどいと思われるでしょうが、花の咲き終わった実が、犬の陰嚢にそっくりなんだそうです。この花が、かわいそうな名前NO1かもしれません。ちなみに日本に昔からあるのがイヌフグリで、オオイヌノフグリ外来種です。イヌフグリは、オオイヌノフグリに押されて絶滅寸前らしいです。

f:id:myuu-myuu:20170708134008j:plain↑ ウバユリ(姥百合)  このユリは、花が咲くころ、葉がなくなり、花だけが咲くそうです。葉が無い → 歯がない → 老婆(姥)→ 姥百合となったそうです。見た目から連想して名前が付いたようです。花が咲くころ、葉がなくなる植物は他にもあるのに、例えば、ナツズイセンマンジュシャゲなども花の時期葉がありませんが、ウバは付きません。(別名ハミズハナミズ、葉見ず花見ずと言います。葉は花を見ることができず、花は葉を見ることができないという意味です。)ウバユリだけ何だか気の毒です。

f:id:myuu-myuu:20170708141556j:plain↑ ヘクソカズラ(屁糞葛) こんなかわいい花を咲かせるのに、臭いが強烈なので、この名がついたそうですが、屁と糞と2つもついては、やっぱりあまりにもかわいそうですね。似たような理由で名前のついたものに、クサギ(臭木)というのがあります。

f:id:myuu-myuu:20170708134459j:plain↑ ドクダミ(毒溜み、毒矯み) この植物ほど気の毒なものはないでしょう。見た目は白い清楚な花を咲かせているのに、臭いがあるだけで、実際は毒など持っていないのに、むしろ薬草として役立っているのに、名前に毒がつくなんて・・・・。名前の由来が2通りあるそうです。1つは、独特の臭いから体内に毒を溜めていると思われ、毒溜め →ドクダメ → ドクダミとなった説。もう一つは、この植物の持つ薬効から、毒を溜める(正しく治す、矯正するの意)→ 毒溜め → ドクダメ → ドクダミとなった説。初めは、馬の病気に用い、薬効があることが分かり、今では十種の薬効があると言われ、十薬(ジュウヤク)とも言われます。高血圧、糖尿病、動脈硬化・心臓病・脳卒中の予防、アトピー性皮膚炎、ニキビ、水虫の改善、ガンの予防などに効くとされています。地方によっては、ドクダミをドクネベ、ホトケグサ、ニュウドウグサ、イヌノヘドグサなどと呼んでいる所もあるそうです。ホトケグサは、ドクダミを有難がっている気持ちが伝わってくるネーミングだと思います。

 このように、薬草としての価値を持ちながら、耳障りな言葉が入ることで損をしているような植物は、結構多いですね。

f:id:myuu-myuu:20170708141054j:plain↑ クサノオウ(瘡の王) 黄色い花を咲かせ、群生している様子は雑草とは思えぬ迫力なので、「草の王」かと思いきや、なんと草の切り口から出る黄色い汁が、瘡(吹き出物、おできのこと)を治す働きがあるので、この名がついたそうです。

f:id:myuu-myuu:20170708142054j:plain↑ キランソウ(別名ジゴクノカマノフタ 地獄の釜の蓋) この植物もたくさんの薬効があり、死人が減るので、地獄の釜に蓋をするほどだという例えから付けられていますが、もう少し薬効を強調するような名前に出来なかったものでしょうか。

f:id:myuu-myuu:20170708142654j:plain↑ ブタナ(豚菜) タンポポに似たヨーロッパ原産の帰化植物。 葉っぱはタンポポそっくりですが、花は30~50㎝ぐらい伸びた茎にやはりタンポポに似た花を咲かせます。名前の由来は、フランス語で「豚のサラダ」を意味する言葉を和名にしたそうです。

f:id:myuu-myuu:20170708143240j:plain↑ ↓ ダリア・ウワキゴコロ(浮気心)

f:id:myuu-myuu:20170708143311j:plainどちらも同じダリアの株に咲いた花です。1株のダリアからいろいろな色合いの花を咲かせるので、この名前を付けたようですが、この花としては、浮気なんかしているつもりはないでしょうね。最も、最近は浮気なんていう言葉は、それほど問題視するものじゃなくなっているので、かわいそうな名前じゃないかもしれません。

 

 他にもかわいそうな名前の付いている草花は、たくさんあるようです。あまりにも小さい花や葉を持っているために、蚤(ノミ)や虱(シラミ)という言葉が入っていたり、嫌われ者の鬼(オニ)とか蛇(ヘビ)という言葉が入っている名前もあります。ノミノフスマ(蚤の衾)、ヤブジラミ(藪虱)、オニノゲシ(鬼野芥子)、ヘビイチゴ(蛇苺)などです。ワルナスビ(悪茄子)、ヌスビトハギ(盗人萩)、ボロギク(襤褸菊)などと言う名前もあります。カタカナだとサラッと読んでしまう名前も、漢字で書くとインパクトがありますね。

 植物の名前の由来を調べてもおもしろいものですね。かわいそうな名前だけでなく、可憐な名前とか、雅な名前とかもありそうですね。

 

              ※ 一部の写真は、ネットからお借りしました。