まつこの庭

私の庭に咲いている花や庭にやってくる鳥や虫たちのことを記録していこうと思います

花の図書館(1) 「雑草のくらし」

 私の趣味は、花つくりと手芸と読書です。

 昔は哲学書から専門書、文学、小説、童話、絵本、漫画まで何でも読みましたが、最近は専ら花に関わる本を読むことが多いです。花に関わる図鑑、栽培書、ドキュメント、エッセイ、小説、雑誌などなどがたくさん本棚に並んでいます。きれいな花がたくさん並んでいる図鑑や写真集をながめているだけで、癒されています。

 特に心に残っている本を10冊取り上げてみたいと思います。

 今回は、絵本「雑草のくらし」です。

f:id:myuu-myuu:20180119144709j:plain↑ 表紙     ↓ 裏表紙

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 この絵本は30年前に出されたもので、当時いくつかの賞をうけたそうですが、いまだに科学絵本と呼ばれる絵本の中でベストセラーを続けているそうです。

 作者は甲斐信枝(かいのぶえ)さんと言います。今年米寿を迎えるそうです。

 2016年にNHKのドキュメンタリーで取り上げられたので、知っている人もいるかもしれませんが、私はずっとまえから「たんぽぽ」という絵本が大好きだったのですが、その時同じ作者であることを知りました。

 「雑草のくらし」には、「あき地の五年間」というサブタイトルがついている通り、作者が畑あとのあき地に5年間通い続け、四季を通して観察を続けて、あき地の植物の栄枯盛衰を描いたものです。(ちなみに栄枯というのは、もともと草木の盛んに茂ること、枯れることを意味するそうです。)何と雑草の勢力図は毎年入れ替わっているのだそうです。何気なく見ていた雑草にもこんな命のドラマが潜んでいたのだなあと今さらながらに気づかされた絵本です。

 地面に腹ばいになり、草花と同じ目線で、草花と会話しながらじっくりと時間をかけて作り上げられた絵本は、優しく繊細なものに仕上がっています。絵本の中では、雑草たちが繰り広げる厳しい命のドラマ、植物の中にもある弱肉強食の世界を描いているというのに・・・・。

春、生まれたばかりの草の芽。

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夏、大きい葉が小さい葉に覆いかぶさる。

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秋、綿毛を付けた種子が空を舞う。

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冬、土の中で春を待つ根っこ。

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 甲斐さんは細部にわたりなんと繊細な線で植物を描いているのでしょう。まるでボタニカルアートのようです。(ボタニカルアートというのは、古代エジプトや中国などで薬草を見分けるために、本物そっくりに描いた植物画が始まりと言われているそうです。写真の無かった時代にはとても大切なものだったのでしょうね。)

 

 明日、1月20日は、大寒です。寒さも底です。これからは日一日と春に向かっていきます。「まつこの庭」でも、春を待つ雑草を見つけました。

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「寒い、寒い」と言っているうちに、陽だまりでは、一足早くホトケノザ(ピンク色の花)とオオイヌノフグリ(水色の花)が小さな花をつけていました。