まつこの庭

私の庭に咲いている花や庭にやってくる鳥や虫たちのことを記録していこうと思います

「まつこの庭」の困ったツル植物たち

 ガーデナーにとって一番厄介なのは、草取りだと思います。

 私の庭では雑草の中でも特に困るのがツル植物です。大事にしている草花に絡みつき、葉を茂らせ、太陽の光を遮り、ひどい時にはその大事な草花を枯らしてしまう事さえあります。初夏から秋まで猛威を振るいます。6月頃までは、なんとか生えて来ては抜く、生えて来ては抜くを繰り返していますが、7月8月になるともうツル植物の成長のスピードに抜く作業が追いつかず、諦めるしかなくなります。秋になって涼しくなるとさすがのツル植物も成長が止まりますから、それから退治(?)するしかありません。

 「まつこの庭」で猛威を振るうツル植物ワースト5は、

   1位 ヤブガラシ、 2位 カナムグラ、 3位 カラスウリ

   4位 ヤブマメ、 5位 マルバルコウソウです。

ヤブガラシ

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 ヤブガラシはヤブカラシとも言い、漢字で書くと「藪枯らし」です。ブドウ科の植物で東南アジアに広く分布し、巻きひげが伸びて他の植物に絡みつき、這い上がり、植物の上に覆いかぶさるように葉を茂らせ、太陽の光を遮ります。ひどいと覆いかぶさった植物を枯らしてしまうまであるので、ヤブガラシ(藪枯らし)の名があるそうです。

 ビンボウカズラという別名も持っています。庭の手入れどころではない貧しい人の家に生い茂るとか、この植物に絡まれた家屋が貧相に見えるとか、この植物が生い茂ることで貧乏になるとか諸説あるようです。

 ヤブガラシはとにかく抜いても抜いてもあとからどんどん出てきます。地下茎を縦横無尽に張り巡らせているので、それこそ根こそぎ退治しないことには永久にヤブガラシとの戦いが続くと覚悟しなければなりません。

 ところがこの厄介者のヤブガラシの花は、チョウやハチの蜜源植物(虫が蜜を吸う植物)になっています。花が小さいので、口の小さい虫にとっては都合がよいようです。特にアオスジアゲハがよく集まってくることで有名です。ヤブガラシは花が咲いても、遺伝子の関係で結実しないそうですが、地下茎がしっかりと冬越しするので翌年また猛威を振るうわけです。

 

<カナムグラ>

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 カナムグラはアサ科の一年草のツル植物で、漢字で書くと「鉄葎」です。葎と言うのは、繁茂して藪を作るツル草の総称です。カナムグラは「鉄葎」と書く様に鋭い鉤のようなトゲがあり、それで茎や木、電柱にまで絡みつきます。抜こうとして引っ張るとトゲが手に食い込んで痛いのなんの、まさに鉄葎です。そんなカナムグラを食草(幼虫が食べる草)にしているのが、チョウのキタテハだというので、驚きです。

 カナムグラは雌雄異株で、夏の終り頃から花を咲かせますが、雌株には雌花が、雄株には雄花が咲くそうです。正直な話、私はカナムグラが雌雄異株であることを今年初めて知りました。今迄、花が咲いた時に引っ張ると粉のようなものが飛び散るので、それを花だと思っていました。ところがそれは雄花だったのです。雄花は立ち上がるようにしてたくさんの花を付けます。粉のように飛び散ったのは花粉で、花粉症の原因になるそうです。

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 雌花は垂れ下がるように花を咲かせます。

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 庭のカナムグラをよく観察してみると、雄花に比べると少し花が咲くのが遅く、花の数も少ないようです。そもそも雄株より雌株の方が圧倒的に少ないように思いました。ビールの原料になるホップと形がよく似ているそうです。

 

カラスウリ

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 カラスウリ(烏瓜)はウリ科のつる植物で、日本や中国が原産で、日本では北海道以外日本全国どこにでも自生しています。鳥は赤い実を好んで食べることから、比較的大きな実のカラスウリはカラスが食べるのだろうと思われたことからそう呼ばれるようになったという説と鮮やかな実の色が唐から伝来した朱墨に似ている事から唐朱瓜(カラシュウリ)と呼ばれ、耳で聞くとカラスウリと聞こえることからカラスウリとなったという説があるそうです。ちなみに特にカラスはカラスウリを好んで食べるという事はないそうです。

 カラスウリもカナムグラと同じように雌雄異株で、雌花を付ける雌株と雄花を付ける雄株があります。カラスウリの雄花と雌花はほとんど同じで、花の元を見ないと区別がつきません。雌花は元が膨らんでいます。

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 カラスウリは受粉のために夜行性のガ(主にスズメガ)を引き寄せます。そのために目立つように白いレースのような美しい花を咲かせます。

 カラスウリの実も緑の濃淡の縞模様がかわいらしいです。

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f:id:myuu-myuu:20181011165346j:plain 秋になり、実が色付くと、青い時にあった縞模様がなくなり、美しい朱色の実になります。

 妖しいまでに美しい花や鮮やかな実を見てしまうと、抜くのがかわいそうになるから不思議です。草花に絡みつき困らせられたことを忘れてしまうほどです。

 カラスウリは地中にあるダリアのような塊根や種から繁殖しますが、秋になると夏の間に伸びたツルの一部が地面に向かって伸び、地表に触れると根を出し、新しい塊根を形成するそうです。子孫を残すためにあらゆる知恵を絞っているのには驚きです。

 

<ヤブマメ>

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 ヤブマメはマメ科のツル植物で、朝鮮半島から中国、日本全国に見られます。細いツルが茎に絡みつくと、引き離すのが難しく、花茎ごと折れてしまうことがあり、厄介です。夏の終り頃からきれいな紫色の花を付けます。今、花が真っ盛りです。

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f:id:myuu-myuu:20181011171049j:plain↑ ヤブマメとカラスウリ(赤い小さな花はバラ・レッドキャスケード)

 ヤブマメは花が終わるとサヤ形の実を付けますが、地中にも閉鎖花(花が開かないで自家受粉し結実する花の事、スミレなどがよく知られます。)を付けます。茎の一部が地中に枝を伸ばし、土の中で実を実らせるというので、驚きです。

 

マルバルコウソウ

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 マルバルコウソウは熱帯アメリカ原産で、ヒルガオ科のつる植物で、ルコウソウの仲間です。ルコウソウは葉が細いですが、これは葉が丸いことからこの名があります。日本には江戸時代末期に観賞植物として入って来たようですが、今では関東以北を除いた地域に野生化しているようです。以前は中部地方以西にしか見られなかったようですが、温暖化に伴い北上してきたようです。

 私の庭ではいつごろから見られるようになったか定かではないのですが、今年爆発的に増え、繁茂しました。花は夏の終り頃から咲き始め、今真っ盛りです。花はかわいいのですが、とにかく他の植物を攻撃する姿(?)は驚きです。他の困ったつる植物同様大事な植物に絡みつくのには、本当に困ったものです。

 

 毎年夏になると雑草と言われるツル植物と格闘をしていますが、植物は植物なりに子孫繁栄のためにいろいろと知恵を働かせています。大事な植物に絡みつき、覆いかぶさり、厄介者と思っている雑草でも、美しい花や実を付け、人間や他の動物を喜ばせ、それが子孫繁栄に繋がっているのですから、植物の知恵はただ「すごい!!」と思うだけです。人間がかなうはずもありません。