今年も「まつこの庭」では沢山のカラスウリの花が咲きました。カラスウリの赤い実はよく見かけますが、花はなかなか見る機会がないと思います。
カラスウリの花は日没後の7時ごろから花を開き、翌朝には花を閉じてしまいます。レースのような花弁を広げると花径が10㎝にもなる白い花は、暗闇の中で幻想的な雰囲気を醸し出しています。自然の造形美に驚かされます。
私はずうっとカラスウリは真夜中に咲くものと思っていました。きっと夜中に開花する月下美人と同じようなイメージを持っていたのだと思います。朝4時ごろ起きてカラスウリの花を見ていました。ところが昨年の夏、猛暑だったので、夕方の5時ごろから花の水かけを始めるようになって、7時ごろまでかかってしまったことがあり、その時初めてカラスウリは夕方開花することを知ったのです。それまで見ていたカラスウリの花はとじる寸前の花だったということが分かり、ちょっと損(?)した気分でした。
これは完全に開く前の花です。この状態から夕闇が濃くなるにつれ、だんだんにレースを広げていく過程が見られるのです。眠い目をこすりながら早起きする必要なんかなかったのです。
カラスウリはウリ科のつる植物で、日本や中国が原産です。日本でも北海道などの北国では自生していないそうです。キュウリやスイカ、カボチャなどのウリ科の植物は普通1本の株に雄花と雌花が付きますが、カラスウリは雌雄異株で、雄花の付く雄株と雌花の付く雌株があります。私の庭では、雄株の方が多いように思います。雄花は1カ所に数個の花が付き、雌花は1カ所に1個の花が付く様です。花の形はほとんど同じで見分けがつきませんが、他のウリ科の植物と同じように雌花の元が膨らんでいるので分かります。
↑ 雌花 ↓ 雄花
カラスウリ(烏瓜)の名前の由来は諸説あるようです。カラスが好んで食べるからという説とカラスは特に好んで食べるわけではなく、鳥は一般的に赤い実を好んで食べることから、カラスウリは比較的実が大きいのでカラスが食べるのだろうと思われたからという説と鮮やかな実の色が唐から伝来した朱墨の色に似ていることから唐朱瓜(カラシュウリ)と呼ばれ、それがカラスウリとなったという説とあるそうです。
カラスウリは、夜白い花を咲かせる多くの花と同じように受粉のために夜行性の蛾(主にスズメガ)を引き寄せます。それで目立つように白いレースのような花を咲かせるのですね。
こんなに大きくなっている実も見つけました。今のうちは縞模様がありますが、色付くころにはこの模様が消えます。
私の庭ではヤブガラシやカナムグラと共にカラスウリは厄介なつる植物ですが、一度妖しいまでに美しいレースのような花を見てしまうと、草木に絡んで困らせられることを忘れてしまうほどです。