まつこの庭

私の庭に咲いている花や庭にやってくる鳥や虫たちのことを記録していこうと思います

名前にヤブの付く植物

 今日は久しぶりに雨が降りました。台風の影響なので、素直には喜べない所もありますが、乾ききった庭には恵みの雨となりました。台風の進路や影響が全く読めないと気象予報士が口々に言うほど、関東地方の方から関西の方へと向かう今回の台風の進路は異例の様です。西日本豪雨の被災地に2次、3次被害が及ばない事を願うばかりです。

 今回は、名前にヤブが付く植物です。「まつこの庭」では、ヤブカンゾウヤブミョウガヤブガラシヤブランなど夏の植物に多いような気がします。

 名前にヤブが付く植物は、何と約80種もあるそうです。ヤブは藪で、藪医者を連想させ、マイナーな植物のイメージですが、藪が付く植物は単に「藪に生える植物」という意味です。元になる植物があって、藪にその植物に似ている植物が生えていたので元になった植物と区別するのに、あるいはよく知られている園芸植物に対して元になった野生種に、あるいは外来植物に似ている植物が日本にもあることが分かったという時にヤブを付けたということらしいです。ヤブガラシ(藪枯らし)は別格で、藪をも枯らすというほど繁茂力が旺盛という意味で付けられたそうです。

f:id:myuu-myuu:20180728135011j:plain↑ ヤブガラシ(藪枯らし) 私は初めヤブガラシを藪辛子と思っていましたが、藪枯らしだったのです。ブドウ科のつる植物で、わたしの庭では一番の厄介者で、バラやグミ、スモークツリーなどなんにでも絡みつき、今の時期ヤブガラシ退治が大変です。

f:id:myuu-myuu:20180728135622j:plain↑ ヤブカンゾウ(藪萱草) ユリ科の植物で、ノカンゾウ(野萱草)やキスゲユウスゲなどと共にヨーロッパへ渡り、ヘメロカリスの改良種となったことで有名です。ノカンゾウは野原や畑の縁などに、ヤブカンゾウは山や林の藪などに、生育地が違う事で区別したようです。花は似ていますが、ノカンゾウは一重咲き、ヤブカンゾウは八重咲きです。ヤブカンゾウは古い時代に中国から渡来したとも言われています。

f:id:myuu-myuu:20180728140334j:plain↑ ノカンゾウ  ヤブカンゾウノカンゾウも若芽を食することができます。

f:id:myuu-myuu:20180728142937j:plain↑ ヤブマメ(藪豆) 野原や林の藪などによく見られるマメ科のつる性の植物です。葉も花も豆の形をしています。花は8月頃に紫色のきれいな花を咲かせます。花の後にはサヤ形の種ができますが、食べられません。私の庭では、ヤブガラシカラスウリ、カナムグラに次いで、厄介者のつる植物です。ツルが細いので、他の植物に絡みつくと取るのが大変です。このヤブマメは、茎の一部が地中に伸び、土の中で閉鎖花を付け、結実するそうです。この種子は地上の豆より大きく、この種子で来年の存続を確保するという植物の知恵を持っているというのが、驚きです。小さいうちに抜いても抜いても、いつの間にか伸びている理由が分かります。

f:id:myuu-myuu:20180728144608j:plain↑ ヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)大きい葉がヤブヘビイチゴで小さな葉がヘビイチゴで、どちらもバラ科の植物で、葉も花も実も大きさが違うだけで形はほとんど同じです。ヘビイチゴは野原や道端など明るい所に、ヤブヘビイチゴは藪のようなやや暗い所に生えます。ヨーロッパ原産のワイルドストロベリーは花が白いのに対して、ヘビイチゴは黄色です。北海道では明治時代にワイルドストロベリーが入って来て野生化したものが白ヘビイチゴと呼ばれているそうです。

f:id:myuu-myuu:20180728151826j:plain↑ ヤブコウジ(藪柑子)柑子というのは野生のミカンというような意味ですから、藪に生える野生のミカンという所でしょうか。ミカンは黄色ですが、ヤブコウジの実は赤ですが・・・・。ヤブコウジの仲間にマンリョウやカラタチバナがありますが、(センリョウは別の種類だそうです。)ヤブコウジを別名ジュウリョウ、カラタチバナをヒャクリョウと言いますが、それは江戸時代にこれらの植物の葉の斑入りや実が白いなどの変種が高値で取引されたことによるそうです。                   ↓ 斑入りヤブコウジ

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f:id:myuu-myuu:20180728141130j:plain↑ ヤブミョウガ(藪茗荷) 葉がミョウガにそっくりで藪に生えることからこの名がありますが、ミョウガはショウガ科ですが、ヤブミョウガツユクサ科で、全く別の種です。ミョウガは熱帯アジア原産ですが、日本では野生化していて、株元の開花まえの蕾を食しますが、ヤブミョウガは茎の上に花を咲かせ、食す習慣はないようです。

f:id:myuu-myuu:20180728142216j:plain↑ ヤブラン(藪蘭) 藪に生え、蘭(シュンラン)の葉に似ていることからヤブランの名がありますが、ユリ科の植物で小さな花はユリの花の形をしています。

f:id:myuu-myuu:20180728145728j:plain↑ ヤブニッケイ(藪肉桂) 私の住んでいるところでは、ニッキの木とも言います。私の家の庭には、直径が1メートル近い大きなニッケイの木がありました。2013年の時の台風で倒れてしまいましたが、その子どもたちがあちこちに芽を出して育っています。60代、70代の人にとっては、子どもの頃根をかじったという思い出があり、その年代の人たちは我が家のニッケイを羨ましがり、苗を喜んで持って行きます。

 私はこのブログを書くのに調べるまで、我が家のニッケイを本物のニッケイ(?)と信じ、「日本のシナモン」と思っていました。ところがニッケイと言われるものはセイロンや中国が原産で、日本の気候では育たないそうなのです。沖縄にはあるようなのですが。そんなわけで日本にあるものをヤブニッケイと呼び、我が家の庭にあるニッケイはヤブニッケイということです。ヤブニッケイも福島以西でしか育たないそうです。

 ニッケイは、香油や香辛料、薬用にするそうですが、アップルパイや紅茶に使われるシナモンと言われるニッケイはセイロン産のもので、香辛料に使われるのが中国産で、日本産は質が落ちるのだそうです。そこがヤブニッケイと言われる所以なのでしょう。

 

 ヤブの付く植物は、他にもヤブツバキ、ヤブザクラ、ヤブムラサキ、ヤブウツギ、ヤブジラミ、ヤブタバコ、ヤブアザミなど初めて聞くものもたくさんあります。「まつこの庭」に続く竹林の藪の中には、私の知らないたくさんのヤブの付く植物が隠れていることでしょう。