ヒガンバナと言うと文字通りお彼岸の頃に咲くので、その名が有りますが、私の庭のヒガンバナは、例年ならお盆を過ぎて8月の終わりごろには咲き始めます。今年は花茎が伸び始める前にとお盆前から早々と草を刈ってきれいにしていたのですが、なかなか花茎が上がる気配がなく、今年は咲かないのかなあと心配していました。9月に入って花茎が上がってきてやっと咲き始めました。去年は花茎が20本近くあったのに、今年はわずか5本です。どうしたのでしょう。
ヒガンバナはヒガンバナ科の球根植物で、中国や日本が原産(中国原産で、古い時代に日本に渡来したという説もあります。)で、日本各地の田んぼのあぜ道やお墓の近くで見られます。ヒガンバナは球根に毒を持っていて、田や墓を荒らす獣除けに植えられた名残のようです。反面、球根からは良質のデンプンが採れるので、昔は救荒作物(飢饉の際の非常食)としての役割もあったようです。
ヒガンバナには赤い花だけでなく白や黄色もあります。例年なら私の庭では赤いヒガンバナより開花が遅く、お彼岸過ぎに咲くのですが、今年はもう咲いてしまいました。
先日「初秋の草花」で紹介したリコリスもこの彼岸花の仲間です。
ヒガンバナの学名は、リコリス・ラディアータと言い、白花ヒガンバナはリコリス・アルビフローラ、キバナヒガンバナはリコリス・オーレアと言うようにリコリスの仲間であることがよく分かります。リコリスと言っても、花弁が細長く反り返っているものとユリの花のようなものがあり、私の中では何となく前者はヒガンバナ、後者はリコリスという区別がありました。この区別があとあと私の誤解に繋がります。
初秋の草花の中でリコリスを紹介した時に、まつこの庭の読者でカナダにお住いのヤマモトさんから、「リコリスは、名前も同じでもカンゾウとまた別のリコリスなのですね。」と言うコメントを頂きました。私は正直コメントの意味がよく分かりませんでした。ヤマモトさんは、ユリの花に似たリコリスをノカンゾウやヤブカンゾウ(ヘメロカリス)の仲間と間違ったのかなと思いました。
コメントのやり取りや自分なりに調べてみて、カンゾウ(萱草)とカンゾウ(甘草)、リコリス(Licorice)とリコリス(Lycoris)を混同していたことが分かったのです。日本語では、萱草と甘草は漢字表記は違いますが、同じ発音(アクセントは違うのかも知れませんが)でカタカナ表記も同じです。Licoriceとlycorisは英語表記も発音も違いますが、カタカナ表記ではどちらもリコリスになってしまいます。
ヤマモトさんの仰ったカンゾウは漢方でよく使われる甘草のことで、マメ科の植物スペインカンゾウのことのようです。このカンゾウは薬やスパイス、お菓子、お酒の原料となっていて身近な食べ物になっているそうなので、カナダではリコリスというとこのカンゾウのことを指すそうです。このカンゾウの英名がLicoriceです。
私が誤解したカンゾウは萱草、ヘメロカリスのことで、ヘメロカリスはユリ科の植物でヒガンバナ科のヒガンバナとは直接関係はありません。
もう1つのリコリス、Lycorisはヒガンバナ科の球根植物のことを指し、ヒガンバナ科のことをリコリス科とも言います。
☆ カンゾウ(甘草)=リコリス(Licorice)=マメ科の植物
☆ ヒガンバナ=リコリス(Lycoris)=ヒガンバナ科の球根植物
やっと「リコリスは、名前が同じでもカンゾウとまた別のリコリスなのですね。」の意味が分かりました。
読者さんのコメントから知らなかった花に関わる知識を得ることができました。還暦を過ぎても新しい知識が増えるということは嬉しいことです。また一つ花の世界が広がりました。ヤマモトさん、ありがとうございました。