私の庭は竹藪に続いています。竹藪の向こう側にアトリエ(夫が絵を描きます。)があり、竹藪の中に幅5,60㎝ぐらいの細い獣道のような小道があります。
小道の両側は竹や雑木で昼間でも薄暗いですが、
所々日が差している所もあります。
その小道の脇に赤い実の生る木が点在しているのを夫が見つけて教えてくれました。
タケノコの時期には折るために、ギンリョウソウの生える頃にはそれを探すために、よくその小道を往復したのですが、今の時期は入っていくことはなく、そんなにたくさんの実が生っていることに気づきませんでした。
縁起物として珍重されてきた赤い実の生るマンリョウ、センリョウ、ヒャクリョウ、ジュウリョウが全部勢ぞろいしているのには驚きました。私の庭には万両は生えていますが、センリョウ、ヒャクリョウ、ジュウリョウは生えていません。
☆☆☆ マンリョウ(万両 アカギ)☆☆☆
マンリョウは昔アカギと呼ばれていたそうですが、同じように赤い実を付けるセンリョウより美しく実がたくさんなることから価値が高いとして、江戸時代中期以降、万両と呼ばれるようになったそうです。
☆☆☆ センリョウ(仙寥 千両)☆☆☆
センリョウはもともと漢字で書くと仙寥でした。ヒャクリョウ(カラタチバナ)より大型でたくさんの実を付けることから千両の字を当てるようになったそうです。マンリョウ、ヒャクリョウ、ジュウリョウは実が下向きに付くのに対して、センリョウだけは上向きに付けます。
赤い実のセンリョウの隣に黄色い実を付けるセンリョウもありました。
私の庭には鉢植えですが、新しい葉が黒くなるセンリョウ・ダークショコラもあります。今の時期、葉色はモスグリーンです。残念ながら実は生りませんでした。
☆☆☆ ヒャクリョウ(百両 カラタチバナ)☆☆☆
ヒャクリョウはカラタチバナとも言います。中国名は百両金という事から、日本ではこれを百両と呼び、これとの比較でマンリョウ、センリョウ、ジュウリョウと言う呼び名が付いたようです。
赤い実のヒャクリョウの近くには白い実のヒャクリョウもあって、また驚きました。
ジュウリョウは一般的にヤブコウジ(藪柑子)と言います。同じように赤い実を付けますが、高さが10~20㎝ぐらいです。藪の中で日がよく当たらないので、高さは10㎝ぐらいにしかならず、実も少ないです。柑子は野生のミカンの意です。
私の庭には鉢植えのものもありますが、背たけは20㎝ぐらいあります。
斑入りのヤブコウジもあります。
これらの植物は赤い実をたくさん付け、冬になっても実が残ることが共通していますが、マンリョウ、ヒャクリョウ、ジュウリョウは、同じヤブコウジ(サクラソウ)科ですが、センリョウはセンリョウ科です。私の家の竹藪の中には見られませんでしたが(もしかしたらもっとよく探せばあるのかも知れませんが)、イチリョウと呼ばれる植物があります。アカネ科のアリドオシです。枝にアリを突き刺すほど小さな鋭いトゲをもっているので、この名があるそうです。アリドオシはセンリョウ、マンリョウと一緒に植えて、「千両、万両、有り通し」(お金がいつも有るの意)と縁起を担いだそうです。
江戸時代中期にはこれらの植物の斑入り葉や白い実の生る変種が珍重され、高値で取り引きされたそうです。その時に万両、千両、百両、十両、一両などの名前が定着するようになったようです。
ヤブコウジ(ジュウリョウ)やアリドオシ(イチリョウ)は日本全国に自生しているそうですが、マンリョウ、センリョウ、ヒャクリョウは茨城県が北限だそうです。北国の人にとっては貴重な植物なのですね。日陰でも育つそうですから、竹藪でも十分に育つのですね。ちょっと厄介な竹藪ですが、宝の山のように思えてきました。