例年ならお彼岸の頃に満開になるサクランボの花が、今年は朝、冬並みの冷え込みが続いているせいか、まだ一輪も咲いていません。さすがに日中は春らしい日差しがあり、傷んだビオラやパンジーなどが元気を取り戻しつつあります。チューリップの芽も大きくなったので、まもなく咲き始めるでしょう。
今回は、12月から温室で咲きつないできたシンビジュームです。今年は本当によく咲きました。
<和 蘭> シンビジュームと東洋ランとの交配種
↑ ひな祭り(とても良い香りがします。) ↓ 散歩道
↑ シルクロード(和蘭の中では、一番ピンク色がきれいだと言われています。)
↑ 花魁(おいらん) 散歩道とよく似ています。どちらもキンリョウヘンの血を継いでいますが、散歩道はリップ(唇弁)がピンクでこちらは赤です。
<テーブルシンビジューム> 小型のシンビジュームです。
↑ 名前不明(ラベルにはテーブルシンビジュームとだけ書いてありました。)
<下垂性シンビジューム>
↑ ミリオンベール ↓ ミリオンキッス
↑ ブラックシャワー(実物はもっと黒いです。) ↓ フォアゴットンフルーツ
<原種同士の交配種> ポーウェルシー(原種インシグネ × 原種ローウイアナム)
このシンビジュームは、我が家に来て35年ぐらいになります。農業関係の役所に勤めていた叔父から頂いたもので、長年名前不明のまま、叔父が住んでいた地名にちなみ「アカツカシンビ」と呼んでいました。10年ほど前、知人のランの個展を見に行った時に、初めてこのシンビジュームが「ポーウェルシー」という名前であることを知りました。1910年ごろに原種同士で交配された品種で、そのころはもちろんメリクロンなどありませんでしたから、残っているのが不思議なほど珍しいらしいです。何しろ、ラン屋さんのおばさんが、「ラン屋のプライドにかけて、分け株を譲って欲しいなんて言えないよね。」と言うぐらいですから、希少価値があるようです。
一見地味に見えるこのシンビジューム、湾曲した1メートル位の茎に20輪ぐらいの花を付け、色は今でいうニュアンスカラーとでもいうべき表現の難しい色ですが、古い品種の持つ何とも言い難い雰囲気を醸し出しています。赤いリップがチャームポイントです。最盛期には10号鉢(直径30㎝)に茎が5、6本立って、花が100輪もつくのでそれは見事です。でも置き場所に困るのです。畳半畳ぐらいを占めてしまうからです。この花が忘れ去られたのは、きっと置き場所に困るという理由からでしょうね。
植え替えを怠って枯れそうになったり、株分けをしてお嫁にいったりしながら、現在は10号鉢に植えられたポーウェルシーが3鉢あります。シンビジュームの園芸種は途中で枯れたり、花が咲かなくなったりしてしまって、私の経験では長生きしても10年ぐらいなのに、ランを育て始めてから残っているシンビジュームはこれだけです。私のランとのお付き合いを見守って来てくれたポーウェルシーを枯らさないように、大切にしようと改めて思いました。