台風14号が関東地方へと向かっています。直撃は避けられそうですが、大雨が降る予報です。大災害が起こらないことを願うばかりです。
今年は秋咲きの花の開花が早すぎると言う記事をいくつか書いて来ましたが、今回もそのような記事です。今、咲いているのは、椿の炉開き(ろびらき)です。
花径が4㎝ぐらいの一重の小さなピンクの花をびっしりと付けています。椿と言うと3月頃から花を付けるイメージがあるので、狂い咲きかとも思ったのですが、たくさん花を付けている事から狂い咲きではないと思い、調べてみました。実は炉開きを育てるのは今年初めてです。春先に、花が咲き終わった炉開きが超格安で売られていたのを見つけたのです。お茶と交配した椿があること、名前が炉開きと言うことは知っていたので、珍しい椿に出会ったと飛びついてしまいました。正直、炉開きは春先に咲くものと思っていました。
炉開きは1972年に新潟の民家で発見されたそうです。すでに推定で樹齢100年以上経っていて、茶道の炉開きの頃(11月頃)に咲くので、この名が付けられたそうです。その後DNA検査で、同じツバキ科のユキツバキ(雪椿)とチャ(茶)の自然交雑種であることが分かったそうです。ユキツバキは日本原産のツバキ、ヤブツバキの変種で新潟地方周辺に自生するもので、チャは中国原産で平安時代の終わり頃に日本に渡来したのだそうです。
炉開きはお茶の木と花にそっくりです。葉は小さく細長く、花の大きさもお茶は炉開きより一回り小さく花径3㎝位です。
↑ 炉開きの花 ↓ チャの花
どちらの花も花弁が5~6枚で花弁の大きさや数、形がばらばらで花形は整いません。
炉開きと茶は花色だけが違い、花の咲いていない木だけ見るとお茶の木だと思ってしまいます。実際炉開きには、椿には含まれないはずのカフェインが含まれているそうです。素人目には種子親(めしべ)がチャで、花粉親(おしべ)がツバキかと思いますが、DNA解析では逆だそうです。私の庭では10月から11月にかけてチャの花が咲くことが多いのですが、今年はすでに咲き始めています。
チャの学名はCameria sinennsisu(中国のツバキ)、ヤブツバキの学名はCameria japonica(日本の椿)で、ユキツバキの学名はCamsria japonica var decumbens(varは変種の意味)です。チャとユキツバキの交配種である炉開きは中国と日本を代表する椿同士の国際結婚みたいなものです。それだけでも不思議なのに、チャの開花時期が10~11月、ユキツバキの開花時期が4~5月と言われています。この2つは一体いつの時期に出会ったのでしょうか?自然状態では決して出会う事はありえません。
いろいろな説があって、晩秋に咲くはずのチャが雪の多い地方では咲く前に雪が降り雪に埋もれたまま冬を越し、春に咲いたのではないかとか、早咲き性のユキツバキがチャの開花時期と一致したのではないかとか言われているそうです。
開花時期に半年ものズレがある2つの花が出会い、新しい種が誕生するのは奇跡としか言えないと思います。炉開きの開花時期は9~3月と言われているので、今の時期に咲くのは普通のようです。ちなみに新潟にある炉開きの原木は、秋と翌春の2回開花するそうです。